2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

自著 「日本初のアニメーション作家 北山清太郎」

このブログでは、原則として私的なことは書かないことにしており、その延長として、自著のことは書かないつもりにしているのだが、少しタイムリーな話題でもあるので、お許しいただきたい。 ●「日本初のアニメーション作家 北山清太郎」 著 者: 津堅信之 出…

雑誌「アニメーション」

いわゆるアニメ情報誌は、現在でも老舗の「アニメージュ」を含め数種類が刊行されているが、最初の商業誌としてのアニメ情報誌は、「OUT」(1977年3月創刊)である。ついて、「アニメージュ」(78年6月創刊)、「アニメック」(78年12月創刊)という具…

アニメーションの起源とは・・・

アニメーションの起源として、決まって、フェナキスティスコープ(驚き盤)、ゾートロープなどの、いわゆる映像玩具や、幻燈、写し絵などの原始的な映写装置が挙げられる。 確かにこれらの装置は、「止まっている絵を動いてみせる」ものであり、アニメーショ…

Full Length Animated Feature Films

著 者: Bruno Edera 出版社: Focal Press 刊行年: 1977年 かなり古くなったが、タイトルのとおり、世界長編アニメーションの総説。 著名なアニメーション史研究家、ブルーノ・エデラによる名著である。 長編アニメーションと言えば、アメリカと日本が大国…

日本映画発達史

著 者: 田中純一郎 出版社: 中央公論社 刊行年: 1980年 日本に映画が輸入され、国産が実現してからのすべての事項を収録した、日本映画史研究の基本中の基本図書。全5巻。 アニメーションに関係する内容もかなり多く盛り込まれてあり、現在でも、本書に…

The Animation Book

著 者: Kit Laybourne 出版社: Three Rivers Press 刊行年: 1998年 簡単に言えば、アニメーション制作のハウツー本だが、425ページもの大部で、もちろん単なるハウツー本ではない。 多くの実作品やクリエイターを実例として挙げて、その制作法の解説(と…

タツノコプロ研究

タツノコプロは、東映動画(東映アニメーション)、虫プロダクションなどと並ぶ老舗スタジオだが、他の大手スタジオとは異なり、ほぼ一貫してテレビアニメにこだわり、かつ原作つきではなくオリジナルの作品を多く送り出してきた点で、まさにテレビアニメの…

FILM 1/24

伝説的存在のアニメーション専門誌だが、このブログでも2度ほど名称を挙げたアニドウ(ANIDO、ホームページもあり)が刊行していた、会員向けの同人誌である。 もともと、プロのアニメーターなどが中心となって、情報発信・交換用の小冊子として制作さ…

東映動画史の基礎資料(その2)

研究者としての学派(?)からすると、私はあまり東映動画に肩入れする立場ではないのだが、もう2冊、紹介しておこうと思う。 ●「作画汗まみれ 増補改訂版」 著 者: 大塚康生 出版社: 徳間書店スタジオジブリ事業本部 刊行年: 2001年 定 価: 1900円 198…

川本喜八郎研究

世界的な人形アニメーション作家であり、NHK人形劇「三国志」などの人形制作者としても知られる川本喜八郎は、今年83歳になるが、現役で活躍している。 いわゆる研究対象として川本喜八郎を選んだという成果は、まだあまり出ていないが、そのぶん、世界の…

「Before Mickey」  「Of Mice and Magic」

どちらも、やや古くなったが、アメリカ・アニメーション史研究には欠くことができない基本文献。 同時に、邦訳が最も待たれている文献とも言えよう。(もっとも、「待たれている」うちに、ずいぶん時間が経ってしまった。だいたい日本は、海外文献の邦訳が少…

ユーロ・アニメーション

編 者: 昼間行雄、権藤俊司、編集部 出版社: フィルムアート社 刊行年: 2002年 定 価: 2000円 「ユーロ・アニメーション」と銘打ってあるが、加えてロシアとカナダが扱われており、実質的に、アメリカとアジア地域を除く、主なアニメ生産国の総説・ガイ…

手塚治虫と虫プロダクション

手塚治虫と虫プロダクションの仕事は、日本のアニメが世界アニメ史の一般的な流れから離れて独自の発展を遂げていくために大きな業績を残したが、その価値は、いまだに正当に評価されているとは言えない。 このため、手塚治虫のアニメの仕事に関して、1冊で…

The Encyclopedia of Animation Techniques

著 者: Richard Taylor 出版社: Quarto Inc. 刊行年: 1996年 アニメ制作ハウツー本の英語版。 同種の文献は、もちろん海外でも多く出版されており、私もいくつか持っているが、わかりやすさと、ページをめくっているだけで楽しくなるという意味では、本書…

「12人の作家による・・・」 「アニメと特撮」

アニメ制作のハウツー本というのは、今も昔も出版されており、古くは大正時代末期に出版された文献も確認できる。 ハウツー本は、文字通りアニメを作る人のための本で、研究者には不要なものと思われがちだが、決してそうではない。 第一に、アニメ制作の具…

輝け60年代 ―― 草月アートセンターの全記録

編 者: 「草月アートセンターの記録」刊行委員会 出版社: フィルムアート社 刊行年: 2002年 定 価: 7500円 大正モダニズム、昭和モダニズムといった言われ方をすることからもわかるとおり、日本ではかつて何度か、いわゆる前衛芸術運動が盛んな時期があ…

東映動画史の基礎資料

日本の大手スタジオでも、東映動画(現東映アニメーション)関連の文献は、かなり多い。 先に紹介した「魔女っ子大全集」も、東映動画史の中に入ってくるものだし、宮崎駿や大塚康生、高畑勲ら東映動画OBの著作なども、範疇として扱えられよう。 しかし、…

魔女っ子大全集

編 者: 高橋和光ほか 出版社: バンダイ 刊行年: 1993年 定 価: 3200円 アニメの出版界では、ムックという形態で出版されるものが多くあり、徳間書店の「ロマンアルバム」シリーズなどが著名だが、資料として活用しようとすると、意外に役に立たないもの…

Puppet Animation in the Cinema

入手困難な古典的文献だが、最近取り組む人が多い人形アニメーション専門書として、紹介しておきたい。 著 者: L. B. Holman 出版社: Tantivy Press ( London ) 刊行年: 1975年 メインタイトルは「映画における人形アニメーション」、サブタイトルは「そ…

アメリカの作品事典2つ

研究書や論集ではなく、事典っぽい文献ばかり紹介しているが、すべての研究の基礎ということで。 最近、アメリカで出版された作品事典を2つ紹介する。 ●「The Animated Film Encyclopedia」 著 者: Graham Webb 出版社: McFarland & Campany, Inc. 刊行年…

「アニメの世界」 「アニメーションの宝箱」

今回は、新旧のレビュー集を紹介したい。 ●「アニメの世界」 著 者: おかだえみこ、鈴木伸一、高畑勲、宮崎駿 出版社: 新潮社 刊行年: 1988年 ちょうど20年前に出版された本書は、国内外のアニメーションの作品とキャラクター紹介をメインとしているため…

「アニメポケットデータ2000」 「日本のアニメ全史」

比較的最近出版された国内アニメ通史文献を2つ紹介する。 ●「アニメポケットデータ2000」 編 者: リスト制作委員会 出版社: 徳間書店 刊行年: 2000年 徳間書店「TVアニメ25年史」「劇場アニメ70年史」以来、久々に登場した作品事典。といっても、B6…

世界アニメーション映画史

著 者: 伴野孝司、望月信夫 出版社: ぱるぷ 刊行年: 1986年 アニメーション上映・研究団体の老舗アニドウが「ぱるぷ」というレーベルで刊行した、実質的な自費刊行図書。一般の大型書店や、地方・小出版流通センターなどでも購入可能だったが、現在ではア…

Cartoons : One hundred years of cinema animation

著 者: Giannalberto Bendazzi(ジャンナルベルト・ベンダッツィ) 出版社: John Libbey & Company Ltd.(London) 刊行年: 1994年 このページでは、海外文献もできるだけ紹介していこうと思うが、「まず1冊」ということになると、やはりこれだろう。 タ…

「TVアニメ25年史」 「劇場アニメ70年史」

編 者: アニメージュ編集部 出版社: 徳間書店 刊行年: 1988年、1989年 「劇場アニメ70年史」は翌年刊行となったが、実質2巻セットの作品事典で、先に紹介した「日本アニメーション映画史」に次ぐ、日本アニメーション研究の基本図書の一つ。 どちらも、…

日本アニメーション映画史

著 者:山口且訓・渡辺泰 出版社:有文社 刊行年:1977年 まずは、やはりこれ。 刊行後30年を経ても、この本の内容を超える本は、出ていない。 すべてのアニメーション研究者にとって必須の名著である。 内容は、大きく3つに分かれている。 第1部は戦前編…