Cartoons : One hundred years of cinema animation

 著 者: Giannalberto Bendazzi(ジャンナルベルト・ベンダッツィ)
 出版社: John Libbey & Company Ltd.(London)
 刊行年: 1994年
 
 
  
 このページでは、海外文献もできるだけ紹介していこうと思うが、「まず1冊」ということになると、やはりこれだろう。
 タイトルは、「カートゥーン: アニメーション100年史」と訳せるが、まさにその通り、世界アニメーション100年史と言える内容で、約500ページ、その内容と量において、現在、最高峰の文献である。
 
 アニメーションの起源とされる映像玩具の話題に始まり、フランスとアメリカにおけるアニメーション発明のエピソード、ディズニーを中心とするアメリカアニメーション史、そしてヨーロッパからアジア、南米やアフリカ諸国に至るまで、網羅的にアニメーション史が述べられている。
 もちろん日本についても扱われていて、1917年の最初期から、戦後の東映動画虫プロダクションを中心とした発展期、近年の宮崎駿の活躍まで整理されている。
 
 私も英語はそれほど得意ではないのだが、本書の英語は比較的平易で、辞書を片手に十分読める。特に、海外アニメーション作家のプロフィールは、生年月日から没年月日、主要作品が詳細に書かれているので、極めて参考になる。
 また、巻末の参考文献リストが非常に充実している点も素晴らしい。10年前、私が本書を手に入れて最初にしたことは、この参考文献リストを使って、海外文献を買いまくった。
 もっとも、例えば日本の項を読んでいると、明らかに誤りと思われる内容もあるので(例えば北山清太郎が1913年に最初のアニメーションを作ったという記述や、大藤信郎の没年が1974年となっているなど)、記述内容を全面的に信頼すべきではないのだが、現在、海外アニメーションを研究領域に加えようとしている人には、必携の文献である。
  
 アマゾンを使えば、容易に入手できる。価格は、現在のところ5807円となっている。
 できるだけ安く買いたいと思う人、また海外文献(特に古典的な文献)をいろいろ買いたいと思う人は、書籍検索サイト「ブックファインダー」を使うことをお薦めする。
  http://www.bookfinder.com/
 ここは、海外版「日本の古本屋」だと思えばよい。古書店だけではなく新品書店も併せて登録されている点は「日本の古本屋」とは異なるが、検索窓に書名や著者名を入れて検索すれば、当該本を取り扱っている書店のリストが出てくる点は同じで、またそこから希望する書店を選んで注文すると、以後は書店と直接やりとりする点も同じである。
 このため、購入手続きにあたっては書店との間で多少の英語でのやりとりが生じ、またクレジット決済不可の店もあり、この場合は外貨の小為替や小切手を買ってそれを先方に送るという手続きが必要になってくるので、めんどうなのだが、日本と違って発売中の新刊本でも書店によって全く値段が異なって、できるだけ安く買ってやろうとか思ってくるので、慣れてくると、それなりに楽しい。
 とりわけ、驚くほど古い文献も入手できることも稀ではなく、私は1920年に出版されたアニメーション最古文献の一つ「Animated Cartoons」(F.C.Lutz著)の初版本を格安で入手することができた。