The Animation Book

 
 著 者: Kit Laybourne
 出版社: Three Rivers Press
 刊行年: 1998年
 
 
 
 簡単に言えば、アニメーション制作のハウツー本だが、425ページもの大部で、もちろん単なるハウツー本ではない。
 多くの実作品やクリエイターを実例として挙げて、その制作法の解説(というか分析)が成されているため、個々の作品作家研究に供することができるほどである。図版も多いが、細かい文字でビッシリ紙面が埋め尽くされているため、私もまだ必要箇所を拾い読みする程度で済ませているのだが、買って損をすることはないと思う。
 
 最近本書を使った例を挙げると、「フルアニメーション」と「リミテッドアニメーション」の違いの確認である。
 最初に明言しておくが、フルアニメーションとは、キャラクターなどの全身をアニメートする作画法、リミテッドアニメーションとは全身のうち手足や口だけなど部分的にアニメートする作画法である。
 しばしば、いわゆる3コマ撮り(現場でいう3コマ打ち)を「リミテッドアニメーション」、1コマ・2コマ撮りを「フルアニメーション」などと解説している場面を見かけるが、これは誤り。
 
 しかし、あまりにも多くの人が(しかもプロのアニメ関係者も含めて)、リミテッドアニメーション=3コマ撮りと言っているので、私もいささか不安になって、本書を読んでみると、リミテッドアニメーション(limited-cel animation)は、次のように説明されている。
 「テレビアニメ時代に入って、キャラクターアニメーションにおける異なったジャンルの進化を余儀なくされた。これは、しばしばリミテッドアニメーションと呼ばれるものである」
 「リミテッドアニメーションは、作画枚数を最小限にしようとするものであり、一般的に、キャラクターの顔は、口が動くだけで静止しており、腕が動いている間も身体は静止している」
 
 やはり、ハウツー本は、研究者にとっては「事典」としての利用価値が高い。
 アマゾン等から購入可能。