2018-01-01から1年間の記事一覧

ますます「雄弁」な映画祭 −− 第5回新千歳空港国際アニメーション映画祭

新千歳映画祭開催の前夜、私は札幌・すすきののバーで飲んでいた。この店には以前にも来たことがある。マスターが「お仕事ですか?」と訊いてくれたので、「新千歳空港で明日からアニメーション映画祭があるんですよ」と言ってみた。 マスターと、もう一人の…

「新海節」の再認識 −−『秒速5センチメートル』爆音上映

11月2日から行われている第5回新千歳空港国際アニメーション映画祭、順調に日程を消化している。 今回からコンペティション部門がさらに充実し、従来からのインターナショナルコンペティション、日本コンペティション、ミュージックアニメーションコンペテ…

『タンポポとリボン』 : 珠玉の短編アニメーション

長年、それも年間何百本も短編アニメーションを見ていると、1作1作への集中力や思い入れが薄まってくるし、惰性を感じることもあるけれど、これには参った。 若井麻奈美さんの最新作『タンポポとリボン』がそれである。 今年6月に発表され、私が知る限り…

稀にみる心地よさ −−石田祐康監督『ペンギン・ハイウェイ』

遅まきながら、見てきた。 しかし、私が今年見た長編アニメの中では文句なく最高作。もちろん私は今年公開の長編アニメを全部見ているわけではないので、あくまで「私の見た」ということではあるが、正直なところ、石田祐康監督がここまでの長編アニメを作る…

第17回広島国際アニメーションフェスティバル 論評

表題の記事、ウェブ「アニメーションビジネス・ジャーナル」に寄稿しました。かなり長くなり、前・後編に分かれています。 今回は、関係者にいろいろ取材した上で書いたのですが、全般的に私の意見が「こうだ」ということよりも、この記事の内容を踏み台にし…

広島国際アニメーションフェスティバル開催にあたって

映画祭公式ページ: http://hiroanim.org/ ほぼ1週間後、恒例の広島国際アニメーションフェスティバルが開催される。1985年の第1回からおおむね2年ごとに開催され、今年は17回目を数える。 日本で唯一の国際アニメーション映画祭として歴史を刻み、役割を…

これぞ「映画」の真骨頂 :細田守監督『未来のミライ』

このブログの趣旨からすると、ちゃんと古今東西のアニメ文献のことを、しかももっと頻繁に書かなければならないのだが、やっぱりこれは書かずにはいられない、細田守監督の最新作『未来のミライ』 公開初日の夕刻からの上映を見た。それまでにはレビューや監…

高畑勲監督 死去

高畑勲監督が、4月5日、死去した。82歳。 アニメ界に大きな足跡を残した監督であり、今後さまざまな形で語られ、語り継がれていくだろうが、その大きな足跡から、2つの作品について書きとめておきたいと思う。 1976年に放映され、高畑勲が監督したテレビ…

引き算のやり方を覚え、引き算を恐れないこと :「GEIDAI ANIMATION 09 oh!」

公式HP: https://www.geidai-animation-09.com/ 恒例となった東京藝術大学大学院アニメーション専攻の院生たちの作品発表会、今年は「GEIDAI ANIMATION 09 oh!」というキャッチフレーズで行われた。 最近は多様性もあり、かつ驚くほど「毎年違う」ことが…

豊かで奥深いコマ撮りの宇宙 :「ストップモーション アニミズム展」

公式HP https://stopmotionanimism4.wixsite.com/sma2018 3月4日から18日まで、横浜の「FEI ART MUSEUM YOKOHAMA」で開催されていた「ストップモーション アニミズム展」 すでに終わってしまったので、ここで書いても宣伝にならないのが申し訳ないのだが…

内田康夫さん、他界 :「テレビアニメ夜明け前」に立ち会った人

内田康夫さん死去、びっくりのニュースだが、83歳、もうずいぶん御歳だったことにも驚いた。 私はこう見えても「浅見光彦シリーズ」のファンで、若い頃に何十冊も読んだが、その作者の内田さんが作家に転向する前にアニメーターだったことは、関西のアニメ史…

独自の「アニメーション観」を育てたい :東京アニメアワードフェスティバル2018

http://animefestival.jp/ja/ 恒例の東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)が、一昨日無事終了した。 私は長編コンペティション部門の一次選考委員を務めたが、TAAFのコンペは今回が事実上初参加なので、過去の傾向とは比較できないという前提な…

東京アニメアワードフェスティバル2018

今年度の東京アニメアワードフェスティバル2018が、明日から開催される。 私は、新作が賞を競うコンペティション部門の「長編コンペティション」の一次選考委員を務めた。その流れで、3月10日、11日の2度、長編のノミネート作上映後のトークイベントに登壇…

映画ベストテンからアニメが除外された

●「映画芸術」2018年2月号 出版社:編集プロダクション映芸 定 価:1,585円 https://www.amazon.co.jp/dp/B0784LFPRN/ 雑誌「映画芸術」で、ベストテン&ワーストテンからアニメを除外するという宣言が話題になった。 詩人の稲川方人、元文部官僚の寺脇研、…