Puppet Animation in the Cinema

 
 入手困難な古典的文献だが、最近取り組む人が多い人形アニメーション専門書として、紹介しておきたい。
 
 著 者: L. B. Holman
 出版社: Tantivy Press ( London )
 刊行年: 1975年
 
 
 
 メインタイトルは「映画における人形アニメーション」、サブタイトルは「その歴史と技法」となっているが、人形アニメーションについてのみ扱われた、数少ない専門書である。
 内容は、「人形アニメーションの歴史」「人形アニメーションの技法」、そして「フィルモグラフィー」の3つに分かれている。英文は平易。
 実際には、技法について多くのページが割かれており、研究者だけに向けられた文献ではないことがわかるのだが、研究者にとって特に重要なのが、第3部のフィルモグラフィーだ。
 1907年制作の「幽霊ホテル The Haunted Hotel」(J・S・ブラックトン)にはじまり、世界各国で制作された人形アニメーション(一部オブジェクト・アニメーションを含む)が、制作年別、制作者別にリスト化されている。
 1975年刊行なので、シュヴァンクマイエルも、イルジ・バルタも、ニック・パークも出てこないが、そのぶん、ハワード・S・モス(Howard S. Moss)や、スタレヴィッチなど、初期の人形アニメーション作家の作品リストは充実している。
 
 冒頭に書いたように、現在、入手は困難。
 また、国内の図書館で、本書を収蔵しているところがあるかどうか、未詳である。私が知る限り、日大芸術学部図書館や、早稲田大演劇博物館にはなかった。同じ早稲田の文学部図書館なら、入っているかもしれない。
 ちなみに、私はブックファインダーを数ヶ月検索し続けて、ようやく入手できた。
 海外のアニメーション文献も充実してきているので、本書を見なければわからない内容というのも少なくなってきたが、人形アニメーションを専門的に、かつ歴史的見地から研究してみたい人は、ぜひ一度眼を通しておきたい。