比類なき長編アニメーション映画祭 ―― 第2回新潟国際アニメーション映画祭を見て(前編)

3月15日~20日まで、第2回新潟国際アニメーション映画祭(新潟フェス)が開催された。

昨年の第1回では、世界的にも非常に珍しい長編アニメ専門の国際アニメーション映画祭ということで注目を集めた。第1回の論評もこのブログで書き、その最後に、国際映画祭がその地歩を固めるには3~4回の開催が必要だと書いた。それを目指して、第2回が開催されたのは、非常に喜ばしい。

 

新潟フェスのプログラムは大きく分けて3つあり、まず長編コンペティション部門。これは国内外から新作の長編アニメを募集し、グランプリを競う、国際映画祭では最も重要なプログラムである。

次に、世界の潮流部門。ここ数年に公開された世界中の長編アニメを中心にして選択された作品群の上映で、世界の「いま」として映画祭側が「注目してほしい」「応援したい」と考える作品が集められたというところか。

そして、レトロスペクティブ部門。今回は高畑勲が選ばれ、彼の長編アニメを一挙上映するというボリュームある内容になった。

このほかにも数多くのイベント上映、オールナイト、トークなどが組まれ、正直なところプログラムが多すぎる感はあった。しかし、結局のところ私は国際映画祭ではコンペティション部門を中心に見ることにしているので、そこは無理なくスケジュールを組んだ。

結果的に、コンペで上映された12作品のうち、昨年一般公開でみた『アリスとテレスのまぼろし工場』以外の11作品をすべて見て、コンペ作品を制覇できた。

 

私が今回の第2回大会で最も注目していたのは、コンペティション部門への応募作品数である。

昨年の第1回では21作の応募があり、ここから10作がコンペ本選に入った。応募作のうち約半数が本選に入ったわけで、正直なところ、これは多すぎると感じた。逆に言えば応募作が少ないからこうなったわけで、第2回大会以降は応募作をどう増やし、コンペの質を向上するかが課題であり、そこに注目したかった。

その結果、報道によれば、今大会での応募作は49作品だったという。これは、長編アニメのコンペを先行して実施してきた新千歳空港国際アニメーション映画祭よりも多い(昨年11月開催の第10回大会では44作品)。日本作品の応募数を私は把握していないのだが、前回を大きく超える49作品の応募があった点は、映画祭としての注目度の向上の結果として、高く評価したい。

その中から選ばれたのが12作品ということで、前回感じたコンペ作の「レベルの差」がどのように変化したのか、新潟に到着した私の期待は、その点に集中した。

後編では、コンペティション作品について、具体的に述べる。