FILM 1/24

 
 伝説的存在のアニメーション専門誌だが、このブログでも2度ほど名称を挙げたアニドウ(ANIDO、ホームページもあり)が刊行していた、会員向けの同人誌である。
 
 
 
 もともと、プロのアニメーターなどが中心となって、情報発信・交換用の小冊子として制作されはじめたのだが、その後、休刊などを挟んで、1976年5月刊行の、新版「第8号」から、活字印刷スタイルとなった。この頃には、一般のアニメファンの会員も増加して、刊行部数もかなり増えていたようだ。
 したがって、「第7号」以前は手書き・オフ、さらにそれ以前はガリ版という、今や懐かしい印刷・刊行スタイルだった。
 
 「FILM 1/24」の最大の特徴は、刊行元のアニドウがもともとプロ制作者集団であり、アニメーターや演出家などのクリエイターとのつながりが密だったこともあって、クリエイターに直接取材し、インタビューをとったり、資料提供を受けたりすることで、紙面が充実していたことである。
 この点は、当時(1970年代)もそうだし、現在でも似たようなものだが、作品や作家のファンが集い、共通の話題で盛り上がり、時には論じるという同人誌のスタイルとは、一線を画している。もちろん例外もあるが、クリエイターに直接アプローチして、第一次資料を掲載するというスタイルを有する同人誌としては、先駆け的存在と言ってよいだろう。
 
 したがって、「母をたずねて三千里」特集(13・14合併号)における小田部羊一、奥山玲子、高畑勲宮崎駿へのインタビュー、大塚康生提供による資料を掲載した号(10、16・17合併号など)、政岡憲三インタビューを含む特集号(23・24合併号)、ウォード・キンボール特集号(25・26合併号)、鈴木伸一特集号(31号)、ユーリ・ノルシュテイン特集号(32号、1984年7月刊行で、現在のところこれが最終号)などは、第一次資料として、現在でも非常に貴重な内容である。
 
 ただし、あくまで同人誌である。
 内輪ノリ満載、現在となっては読む価値に乏しい記事も多いのだが、これはやむを得ず、あまり批判するには及ばないだろう。
 
 現在、入手は極めて困難。
 特に、活字化される以前の号を入手することはほとんど不可能と思われ、私も1冊しか持っていない。活字化された第8号から最終号までは、私はどうにかすべて揃えた。
 まんだらけでは、バラでたまに見かけるが、私は、古書店以外にも、ヤフオクとか、古書検索サイト「スーパー源氏」とかを使って集めたと記憶する。
 こまめに探索して入手するしかない。