国内文献・作品作家研究

『宇宙戦艦ヤマト』を問い直す

●「「宇宙戦艦ヤマト」の真実 −いかに誕生し、進化したか」 著 者:豊田有恒 出版社:祥伝社新書 刊行年:2017年 定 価:842円 私は「ヤマト」世代よりも少し若いのだが、テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』には強い思い入れがある。テレビアニメシリーズ第1作…

『河童のクゥ』と原恵一

昨年、多くのファンを感動させた長編アニメ『河童のクゥと夏休み』は、主人公・康一と河童のクゥとの友情にはじまり、弱いものへのいたわり、家族、地域社会の在りよう、情報化社会の暴力性、環境問題、そして失われつつある文化への憧憬に至るまで、見る人…

コマ撮りアニメーションの秘密

●「コマ撮りアニメーションの秘密」 著 者: オリビエ・コット 日本語版監修: 真賀里文子・野中和隆 出版社: グラフィック社 刊行年: 2008年 定 価: 3500円 アカデミー短編アニメーション賞を受賞した作家や関係者へのインタビューと多くの図版で構成さ…

今 敏 とは何か

「現代劇のサスペンス」という、海外ではおよそ長編アニメーションの素材にはなり得ない素材を駆使し、テレビアニメ等での「下積み」をほとんど経ることなくいきなり長編アニメを監督し、以後も主に長編監督として仕事をこなす。そして、迷宮的なストーリー…

シュヴァンクマイエル文献2つ

ここ10年ほど、日本のいわゆるアート系アニメーションのファンの拡大に大きく寄与した、ヤン・シュヴァンクマイエル。学生や研究者の研究対象として取り上げられる機会も多く、その余波として多くの文献や記事が出てきている。 が、まずは単行本としては、こ…

押井守

押井守の最新作『スカイ・クロラ』は、残念ながらヴェネツィアでの受賞を逃したが、北野武、宮崎駿らの作品とともに日本映画3本がコンペティション部門にエントリーされたというのは、それだけでも壮観だった。 それにしても、この押井守という監督も、なん…

世界名作劇場  斎藤博+宮崎晃

フジテレビ系日曜日夜7時半、「世界名作劇場」と呼ばれたシリーズは、現在30歳以上の人であれば何らかの思い出があるだろうし、日本のテレビアニメ史から見ても決して外すことのできない重要なシリーズだが、残念ながら、これ1冊見れば研究基礎資料になり…

宮崎駿・大塚康生の世界

●「宮崎駿・大塚康生の世界」 監 修: 宮崎駿・大塚康生 編 者: 銀英社 出版社: オフィスアクション 刊行年: 1982年 定 価: 4500円 『崖の上のポニョ』公開記念ではないが、宮崎駿関連の少しマイナーな文献を紹介したい。 ちなみに『ポニョ』、私は非常…

夜想

●「夜想」 第34号 特集「パペット・アニメーション」 1998年7月刊 第35号 特集「チェコの魔術的芸術」 1999年7月刊 出版社: ペヨトル工房 定 価: いずれも1200円 人気が継続している人形アニメーションについて、まとまった情報が得られる文献は現在でも…

持永只仁自伝

●「アニメーション日中交流記 持永只仁自伝」 著 者: 持永只仁 出版社: 東方書店 刊行年: 2006年 定 価: 2381円 日本の人形アニメーションのパイオニア・持永只仁(1919〜1999)の「自伝」 これまで、持永についての著作・資料は、いくつかのインタビュ…

宮崎駿研究

もはや宮崎駿研究は、多くの専門家やマニアがいるし、私の出番はないだろうが、今、宮崎作品がらみの仕事を進めていることもあるので、古典的文献を中心に、いくつか挙げてみたい。 ●「宮崎駿イメージボード集」 著 者: 宮崎駿 出版社: 講談社 刊行年: 19…

自著 「アニメ作家としての手塚治虫」

富野由悠季関連の文献を紹介したところで触れたので、再び自著の紹介。ご容赦いただきたい。 ●「アニメ作家としての手塚治虫」 著 者: 津堅信之 出版社: NTT出版 刊行年: 2007年 定 価: 2400円 日本の戦後アニメ界の流れには東映動画系と虫プロ系があ…

富野由悠季全仕事

●「富野由悠季全仕事」 監 修: 富野由悠季 出版社: キネマ旬報社 刊行年: 1999年 定 価: 2800円 富野由悠季監督はアニメ情報誌や映画雑誌等で膨大なインタビューやコメントを出している。作品作家研究において、そのすべてに眼を通す必要があるかどうか…

岡本忠成作品集

岡本忠成(おかもと・ただなり、1932〜1990)というアニメーション作家の名を知らなくとも、NHKみんなのうた「メトロポリタン・ミュージアム」(1984)と言えば、「ああ、あの可愛い人形アニメーション!」と思い出す人は少なくないだろう。 それほどまで…

ディズニー研究

ディズニーは、良くも悪くも今日のアニメーションの基本形を構築し、また特に1928年のミッキー誕生以降、そして1937年の『白雪姫』以降、世界中のアニメーションに影響を及ぼし、それは現在に継続している。 したがって、その研究も世界レベルで継続している…

自著 「日本初のアニメーション作家 北山清太郎」

このブログでは、原則として私的なことは書かないことにしており、その延長として、自著のことは書かないつもりにしているのだが、少しタイムリーな話題でもあるので、お許しいただきたい。 ●「日本初のアニメーション作家 北山清太郎」 著 者: 津堅信之 出…

川本喜八郎研究

世界的な人形アニメーション作家であり、NHK人形劇「三国志」などの人形制作者としても知られる川本喜八郎は、今年83歳になるが、現役で活躍している。 いわゆる研究対象として川本喜八郎を選んだという成果は、まだあまり出ていないが、そのぶん、世界の…

魔女っ子大全集

編 者: 高橋和光ほか 出版社: バンダイ 刊行年: 1993年 定 価: 3200円 アニメの出版界では、ムックという形態で出版されるものが多くあり、徳間書店の「ロマンアルバム」シリーズなどが著名だが、資料として活用しようとすると、意外に役に立たないもの…