引き算のやり方を覚え、引き算を恐れないこと :「GEIDAI ANIMATION 09 oh!」

公式HP: https://www.geidai-animation-09.com/ 恒例となった東京藝術大学大学院アニメーション専攻の院生たちの作品発表会、今年は「GEIDAI ANIMATION 09 oh!」というキャッチフレーズで行われた。 最近は多様性もあり、かつ驚くほど「毎年違う」ことが…

豊かで奥深いコマ撮りの宇宙 :「ストップモーション アニミズム展」

公式HP https://stopmotionanimism4.wixsite.com/sma2018 3月4日から18日まで、横浜の「FEI ART MUSEUM YOKOHAMA」で開催されていた「ストップモーション アニミズム展」 すでに終わってしまったので、ここで書いても宣伝にならないのが申し訳ないのだが…

内田康夫さん、他界 :「テレビアニメ夜明け前」に立ち会った人

内田康夫さん死去、びっくりのニュースだが、83歳、もうずいぶん御歳だったことにも驚いた。 私はこう見えても「浅見光彦シリーズ」のファンで、若い頃に何十冊も読んだが、その作者の内田さんが作家に転向する前にアニメーターだったことは、関西のアニメ史…

独自の「アニメーション観」を育てたい :東京アニメアワードフェスティバル2018

http://animefestival.jp/ja/ 恒例の東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)が、一昨日無事終了した。 私は長編コンペティション部門の一次選考委員を務めたが、TAAFのコンペは今回が事実上初参加なので、過去の傾向とは比較できないという前提な…

東京アニメアワードフェスティバル2018

今年度の東京アニメアワードフェスティバル2018が、明日から開催される。 私は、新作が賞を競うコンペティション部門の「長編コンペティション」の一次選考委員を務めた。その流れで、3月10日、11日の2度、長編のノミネート作上映後のトークイベントに登壇…

映画ベストテンからアニメが除外された

●「映画芸術」2018年2月号 出版社:編集プロダクション映芸 定 価:1,585円 https://www.amazon.co.jp/dp/B0784LFPRN/ 雑誌「映画芸術」で、ベストテン&ワーストテンからアニメを除外するという宣言が話題になった。 詩人の稲川方人、元文部官僚の寺脇研、…

『宇宙戦艦ヤマト』を問い直す

●「「宇宙戦艦ヤマト」の真実 −いかに誕生し、進化したか」 著 者:豊田有恒 出版社:祥伝社新書 刊行年:2017年 定 価:842円 私は「ヤマト」世代よりも少し若いのだが、テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』には強い思い入れがある。テレビアニメシリーズ第1作…

アニメーションの美術館展示とは :国立新美術館「新海誠展」

フェイスブックで先に書いたのだが、少し加筆しつつ、こちらでも。 国立新美術館での「新海誠展」、昨日、すべりこみで見てきた。美術館でのアニメーション展示の難しさは、やはり感じたが、いろいろな制約があるだろう中で、比較的要点を絞った内容にまとま…

「旅と鉄道」 アニメの聖地巡礼について思うこと

●「旅と鉄道」2017年5月号 「鉄道×アニメ 聖地巡礼」 ●「旅と鉄道」2017年12月増刊号 「アニメと鉄道」 出版社:山と渓谷社 刊行年:2017年 定 価:1,000円(いずれとも) アニメの舞台に絡む、いわゆる「聖地巡礼」が盛んだ。わかる人にはわかる、マニアの…

新千歳空港国際アニメーション映画祭 :未来志向の発信力と今後

新千歳空港国際アニメーション映画祭 http://airport-anifes.jp/ 1ヶ月近く前の話題になってしまったが、11月2日から5日にかけて開催された北海道・新千歳空港国際アニメーション映画祭に今年初めて参加することができたので、書いておきたい。 日本で「…

芸術新潮 2017年 9月号

●「芸術新潮 2017年 9月号」 出版社:新潮社 刊行年:2017年 定 価:1,440円 https://www.amazon.co.jp/dp/B074JRWX4N/ だいぶ更新が滞っているが、アニメ周辺の新たな分野を立ち上げつつ、そろそろ積極的に書いていきたいと思う。 が、その前に。今年は「ア…

日本アニメが100年

今年は、日本で初の国産アニメーションが公開されて100年にあたっている。業界では盛り上がりに欠けるが、周辺ではそれ相応に動きがあり、私もいくつか声がかかっている。その一つがこれ。 UCカードの会員向け情報誌「てんとう虫」3月号の「特集・日本ア…

新版 アニメーション学入門

新刊のご紹介です。 「新版 アニメーション学入門」(平凡社新書) https://www.amazon.co.jp/dp/4582858368/ 2005年に出版した「アニメーション学入門」の、約10年ぶりの全改訂新版です。 この10年のアニメ界は本当に話題が多く、デジタル技術の発達、深夜…

マチ★アソビ Vol.17

恒例の徳島「マチ★アソビ(Vol.17)」が、今週末の10月8日から3日間、開催されます。私は今回も参加しますが、いつもは2日目で撤収するところ、最終日まで滞在します。 http://www.machiasobi.com/ このマチ★アソビの公式ウェブにはまだ掲載されていない…

広島フェス 論評記事

先日終了した、第16回広島国際アニメーションフェスティバルに関して、どちらかというと論評記事になるのだが、「アニメ!アニメ!」にて発表した。 http://animeanime.jp/article/2016/08/25/30160.html 字数制限もあり、十分書ききれなかった部分もあるが…

広島国際アニメーションフェスティバル開幕

きょうから5日間、広島市で恒例の広島国際アニメーションフェスティバルが開催されている。 http://hiroanim.org/ 2年に一度、主にいわゆるアート系の短編アニメーションが集められ、新作を審査しグランプリを競うコンペティションがメインプログラムとな…

デラシネ −わたくしの昭和史−

●「デラシネ −わたくしの昭和史−」 著 者:栗山 富郎 出版社:ボイジャー 刊行年:2009年 定 価:1,620円 https://www.amazon.co.jp/dp/4862390528/ 先に紹介した拙著「ディズニーを目指した男 大川博」を執筆中に参照した文献の中で、感銘を受けたもののひ…

ディズニーを目指した男 大川博

●「ディズニーを目指した男 大川博 忘れられた創業者」 著 者:津堅 信之 出版社:日本評論社 刊行年:2016年 定 価:2,376円 https://www.amazon.co.jp/dp/4535586950/ 自著の紹介になるが、私の最新刊は、東映動画設立者・大川博の評伝。 しかし、大川博は…

吉祥寺アニメーション映画祭

毎年10月に開催される吉祥寺アニメーション映画祭、私も第1回以来、審査員として参加していますが、今年度の第12回大会の作品応募締め切りが、8月8日に迫っています。 http://kichifes.jp/animation/index.html 全国に数多くあるアニメーション関連の映画…

アニメ・マシーン

●「アニメ・マシーン −グローバル・メディアとしての日本アニメーション」 著 者:トーマス・ラマール(藤木秀朗・大粼晴美 共訳) 出版社:名古屋大学出版会 刊行年:2013年 定 価:6,804円 先日、日本アニメーション学会の年次大会が終了した。アニメーショ…

日本アニメーション学会大会

きょうから2日間、日本アニメーション学会の年次大会。場所は新潟大学五十嵐キャンパス。アニメーション学会の大会では、毎回テーマがあり、今回は「アニメーションにおける身体性」 研究発表では、このテーマに沿った発表と、一般の発表とに分かれる。 発…

マチ★アソビ Vol.16

毎年春と秋に徳島市で開催されるアニメ関連イベント「マチ★アソビ」 私はここ数年毎年参加し、トークイベントで喋ったり販売ブースに入って何やら売ったりしているのですが、徳島という街の「身の丈」に合った心地よいイベントで、楽しんでいます。 このゴー…

東映社内報「とうえい」

4月からフリーランスになって、今年8月刊行予定の単行本の原稿執筆を毎日自宅でやっているわけだが、その仕事の参考文献のひとつがこれ、東映の社内報、その名も「とうえい」(月刊) 写真の1966年10月号は、東映動画創立10周年の特集が組まれており、設立…

近況 その1

近況の報告です。 昨日、つまり3月末で、ちょうど10年間務めた京都精華大学を退職しました。 今月からは、日本大学芸術学部が、教職の拠点になります。ただし、専任ではなく非常勤です。なので、私の職業は「フリーランスのアニメーション研究家」というこ…

ブログ再開

こちらへの書き込みは、なんと7年ぶり! ここ数年、外向けの発言はフェイスブックを使っていましたので、こちらは放置状態でしたが、4月から、文献紹介以外に近況報告というカテゴリを追加して、再開したいと思います。 簡単ですが、ひとまず、予告まで。

外国テレビフィルム盛衰史

●「外国テレビフィルム盛衰史」 著 者: 乾 直明 出版社: 晶文社 刊行年: 1990年 定 価: 5800円 私の専門が歴史なので、つい昔のことを調べるための文献に偏ってしまうが、しかしそれは、まだまだ調べられていないことがあることの示唆でもある。 例えば…

値段史年表

●「値段史年表 明治・大正・昭和」 編 者: 週刊朝日 出版社: 朝日新聞社 刊行年: 1988年 定 価: 1600円 だいぶ更新が間延びするようになって、紹介したい新刊はけっこうあるのだが、ちょっと毛色の違う図書を紹介したい。 明治期から昭和60年代までの、2…

世界映画大事典

●「世界映画大事典」 監 修: 岩本憲児・高村倉太郎 出版社: 日本図書センター 刊行年: 2008年 定 価: 28,000円 これを読むのに時間がかかったわけではないが、国内外の映画関連のさまざまな事項と人名をまとめたこの大事典を、久々の更新で取り上げてみ…

「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか

●「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか 著 者: 大塚英志・大澤信亮 出版社: 角川書店 刊行年: 2005年 定 価: 743円 (書籍画像省略) 刊行から早や3年が経ち、さすがに話題にのぼることも少なくなったが、その内容、もしくはその内容から導き出される…

季刊「フィルム」臨時増刊 「アニメーション」

●季刊「フィルム」臨時増刊 「アニメーション」 出版社:フィルムアート社 刊行年:1971年 定 価:500円 古い雑誌だが、手元に置いておいて損はない。 日本で開催された、おそらく最初の大規模なアニメーション映画祭である「アニメーション・フェスティバル…