●「デラシネ −わたくしの昭和史−」
著 者:栗山 富郎
出版社:ボイジャー
刊行年:2009年
定 価:1,620円
https://www.amazon.co.jp/dp/4862390528/
先に紹介した拙著「ディズニーを目指した男 大川博」を執筆中に参照した文献の中で、感銘を受けたもののひとつ。
著者の栗山富郎は、1951年に東映入社後、主にプロデュースの道を歩み、後に独立プロを立ち上げ、多くの作品と人物に関わる。その関わった人物として登場するのが、寺山修司、大島渚、内田吐夢、安部公房、三島由紀夫など。
主に東映動画でのアニメ関連のエピソードもいくつか語られており、アニメーター・大塚康生が入社を希望する東映動画(正確には東映動画改組前の日動映画)を訪問しようとする際に紹介状を書いたのが、この栗山である。
文字通り、昭和の映画・アニメなどに絡む裏面史が豊富に盛り込まれた貴重な内容。書式は自由なため、内容を引用する際には裏づけが必要となることもあろうが、証言集として捉えるだけでも、その価値は減じない。
2009年出版だが、著者の栗山は翌2010年5月10日に他界する。よく書き残してくれたと思う。