外国テレビフィルム盛衰史

 
●「外国テレビフィルム盛衰史」
 著 者: 乾 直明
 出版社: 晶文社
 刊行年: 1990年
 定 価: 5800円
 
 
  
 私の専門が歴史なので、つい昔のことを調べるための文献に偏ってしまうが、しかしそれは、まだまだ調べられていないことがあることの示唆でもある。
 例えば、『鉄腕アトム』以前のテレビ放送史における外国(主としてアメリカ)テレビ番組の放送史もその一つで、そのプログラムの中には多くのアメリカ製テレビアニメがあり、その放送実績が、後の「テレビアニメ大国」日本の礎となったことは、ぜひ認識しておきたい。
 昭和30年代以前のテレビ放送史に関する文献は数多いが、まずは本書を紹介する。
 
 テレビ放送が開始された1958年から1992年までの、海外テレビ番組に関する総説である。情報として特に欲しいのは1970年代くらいまでなので、年代的にはやや広く扱いすぎており、このため各年代や作品群に関する情報は、概説にとどまっている。
 しかし、606ページもの大部に収められた情報は、海外テレビ番組放送に関する文字通りの総説として、本書をたよりにしつつ、細部の具体的な情報を他の文献に求めていくという順序になろうかと思う。アニメーションに関する記述も、けっこう多い。
 そういう意味では、参考文献に関する記述がほとんどないのは残念。
 また、巻末に「外国テレビ番組全リスト」が収められており、これはこれで貴重なのだが、邦題、放映開始年月、放映キー局のたった3項目しかリスト化されていないのは残念。すべての番組については難しいのだが、可能なものだけでも原題と話数はつけてほしかった。
 
 古書市場で入手可能。