芸術新潮 2017年 9月号

●「芸術新潮 2017年 9月号」
 出版社:新潮社
 刊行年:2017年
 定 価:1,440円

  https://www.amazon.co.jp/dp/B074JRWX4N/
 
 だいぶ更新が滞っているが、アニメ周辺の新たな分野を立ち上げつつ、そろそろ積極的に書いていきたいと思う。
 が、その前に。今年は「アニメ100周年」が謳われ、多くのメディアがアニメ特集を組んだが、業界自体にはその盛り上がりは感じられない。それでも、今までアニメには無縁と思われていたメディアがアニメを扱う意義は、素直に評価したい。
 その代表的な成果がこれ、もう3ヶ月前になってしまったが、「芸術新潮」がアニメ特集を組んだということで話題になった。
 目玉記事は、アニメの識者30人が選出した「日本アニメベスト10」の集計で、私も選出に参加したのだが、第1位『新世紀エヴァンゲリオン』、第2位『機動戦士ガンダム』、第3位『宇宙戦艦ヤマト』という順位には、「なんで!?」という気持ちと「やっぱり!」という気持ちとが交錯する気分になった。
 それでも、選出に参加した30人の識者それぞれのベストテンやコメントを読んでいると、これは私も含めてなのだが、自分1人でベストテンを選ぶというよりも、大勢で選んだ結果を集計すると自然に落ち着いた順位になるんじゃないかという、ある種の「読み」を前提として選んだと理解できる。したがって、誌面の編集部のコメントにもあるように、「それぞれが貴重なリスト」ということになろう。
 そして私は、「今、アニメの時代 −それはなぜ日本で発展したのか−」と題する論考を寄稿した。論考というよりも、「数年前のことである」などという書き出しで始まるのだから、エッセイに近い筆致で書いた。日本でアニメが発展した背景として、やや偏った切り口(別な言い方をすれば絞り込んだ切り口)で書いたが、私としては「ガチな論考」を離れて書きたかったので、非常に有意義な仕事になった。