ディズニーを目指した男 大川博

●「ディズニーを目指した男 大川博 忘れられた創業者」
 著 者:津堅 信之
 出版社:日本評論社
 刊行年:2016年
 定 価:2,376円
 
 https://www.amazon.co.jp/dp/4535586950/
 
 自著の紹介になるが、私の最新刊は、東映動画設立者・大川博の評伝。
 しかし、大川博は倒産寸前の東映の初代社長として経営を立て直した日本映画界の功労者であり、映画界に入る前には鉄道省、そして東急電鉄の役員として鉄道業界を渡り歩き、東映社長就任後は、NET(日本教育テレビ、現・テレビ朝日)を創業・初代会長であり、東映が親会社のプロ野球球団・東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)の初代オーナーという多彩な経歴の持ち主である。本書ではそのすべてに触れ、大川博の評伝としてまとめた。
 アニメ分野では、東映動画設立に大川博がどう関わったのか、そして日本初のフルカラー長編アニメ『白蛇伝』成立の道筋に絞って執筆した。
 したがって、東映動画というスタジオ史としては物足りない内容と読めるかもしれないが、アニメーターとか監督とか、どうしても実制作者によって語られることが多い東映動画史の空白の一端を埋めることはできたと考えている。
 「ディズニーを目指した男」というタイトルは、単なる「釣り」ではなく、ちゃんと意味をこめており、これはぜひ本書を読んで確かめていただければと思う。