●季刊「フィルム」臨時増刊 「アニメーション」
出版社:フィルムアート社
刊行年:1971年
定 価:500円
古い雑誌だが、手元に置いておいて損はない。
日本で開催された、おそらく最初の大規模なアニメーション映画祭である「アニメーション・フェスティバル東京 '71」に併せて刊行された。このフェスティバルそのものは、もちろん「アニメーション三人の会」を始祖とする「アニメーション・フェスティバル」の発展形で、国内の自主制作アニメーションが多数出品された。
出品作家は、久里洋二、田名網敬一、川本喜八郎、岡本忠成、亀井武彦、古川タク、福島治次(現・福島治)、中島興、月岡貞夫など、当時ならではの作家たちだが、意外なところでは、高橋良輔の名前が見える。
また、ノーマン・マクラレン、ライアン・ラーキン、イルジ・トルンカ、ジョージ・ダニング、ラウル・セルヴェ等の海外作家の作品も「招待作品」としてプログラムに組み込まれている。
残念ながら、メインスタッフの内紛が主要因となって、フェスティバルはこれが最後の開催となってしまった。以後、日本の自主制作アニメーション界は、しばらく冬の時代に入る。
さて、本誌の内容だが、上記フェスティバルの上映作品一覧(基本的なデータ付き)をはじめ、種村季弘、赤瀬川原平、和田誠、小野耕世、加太こうじらが寄稿し、それぞれの観点でアニメーションを論じているほか、アニメーション年表(森卓也)、アニメーション作家の美学(岩淵正嘉ほか訳、掲載作家は、ノーマン・マクラレン、レン・ライ、ピオトル・カムレー、ドゥシャン・ヴコチッチなど)が掲載されている。
B5判、全112ページ。
もちろん古書ルートのみだが、入手困難。