夜想

 
 ●「夜想
  第34号 特集「パペット・アニメーション」
   1998年7月刊
  第35号 特集「チェコの魔術的芸術」
   1999年7月刊
 
  出版社: ペヨトル工房
  定 価: いずれも1200円
 
 
 
 人気が継続している人形アニメーションについて、まとまった情報が得られる文献は現在でも少ないが、この2冊は必ず手元に置いておかなければならないものの一つ。
 第34号では、ヤン・シュヴァンクマイエル、イジィ・トルンカなどチェコの巨匠を中心として、『ウォレス&グルミット』のニック・パーク、イギリスの鬼才クエイ兄弟アメリカの特撮映画の巨匠レイ・ハリーハウゼン、そして日本の川本喜八郎まで、パノラマ的にまとめられている。
 結果として、刊行当時人気沸騰だったチェコの情報が限られてしまったと判断されたのか、第35号では、イジィ・バルタやカレル・ゼマンなどにも多くのページを割いたチェコ特集になった。
 
 いずれも、各地域や作品作家の専門家による論考が中心ではあるが、取り上げられた各アニメーション作家のフィルモグラフィなど、基礎的情報の掲載にも配慮されており、利用価値が高い。
 カテゴリは、「定期刊行物」にも「海外事情」にも入りそうだが、特定の作家に着目した記事が多く盛り込まれているので、複数の作品作家についての研究に供することができる、「作品作家研究」の文献として分類した。
 
 現在では古書ルートのみでの流通だが、比較的入手しやすい。