ここ10年ほど、日本のいわゆるアート系アニメーションのファンの拡大に大きく寄与した、ヤン・シュヴァンクマイエル。学生や研究者の研究対象として取り上げられる機会も多く、その余波として多くの文献や記事が出てきている。
が、まずは単行本としては、この2冊だろう。
●「シュヴァンクマイエルの世界」
著 者: ヤン・シュヴァンクマイエル
訳 者: 赤塚若樹
出版社: 国書刊行会
刊行年: 1999年
定 価: 3000円
●「シュヴァンクマイエルの博物館」
著 者: ヤン・シュヴァンクマイエル
訳 者: くまがいマキ、ペトル・ホリー
出版社: 国書刊行会
刊行年: 2001年
定 価: 3800円
どちらも図版豊富で、特に後者は図版・画集といってもよい内容。
前者は、シュヴァンクマイエルへのインタビュー、本人による作品制作メモやコメントなどが豊富に盛り込まれ、彼の作品世界を紐解くには不可欠の内容。引用文献リストや、作品の詳細なスタッフリストもまとめられており、シュヴァンクマイエル研究の基本文献といえる。
前者も図版だけではなく、やはり多くの作品構想メモや解説がつけられているため、彼の作品を通して鑑賞し、この2冊を揃えるところから、研究が出発することになろう。
どちらもやや高価だが、その内容を踏まえれば、損はない。