アートアニメーションの素晴らしき世界

 
 ●「アートアニメーションの素晴らしき世界」
  出版社: エスクァイア マガジン ジャパン
  刊行年: 2002年
  定 価: 1380円
 
 
 
 海外を中心とした、いわゆるアートアニメーションのガイドブック的な文献はいくつかあるが、その中でも本書は密度が濃く、また盛りだくさんの内容になっている。
 まず、「アート・アニメーションの歩み」として、世界アニメーション略史がまとめられ、次に、ロシア、チェコなど旧社会主義国のアニメーション事情が多く語られている。ちょうど本書が出版された頃、あちこちでロシア、チェコのアニメーション上映が成されていた事情が強く反映されている。
 その他、中国、イタリア、イギリス(アードマン、クエイ兄弟)などの記事がある。
 
 アレクセイエフ、セルヴェ、カチャーノフ、ノルシュテインシュヴァンクマイエル、ラルーなどのポピュラーな作家から、ミハイル・ツェハノフスキー、ジョーダン・ベルスン、ガリー・バルディンなど、それなりの専門家でないと馴染みがない作家まで紹介されている点も特筆すべき。
 図版豊富で、アート・アニメーション初心者のガイドブックとして、また専門家が事典として使うこともできよう。
 なお、カコミ記事で紹介されている作家の数が非常に多いので、労作だし、ありがたいのだが、そうであればあるほど、索引をつけて欲しかった。