Cartoon Modern

 
 ●「Cartoon Modern Style and Design in Fifties Animation」 
  著 者: Amid Amidi
  出版社: Chronicle Books
  刊行年: 2006年
  
 
 
 海外文献については、これまで多くの人が引用している古典的なものから収集することになりがちなので、新しいものまでなかなか眼が行き届かない。特に最近は、ネットで十分に最新事情が把握できるので、書籍として刊行されたもののプライオリティが見えにくくなっていることは否めないのだが、その中でも本書には注目。
 アニメーション史の中で、1960年代を一つの境界線と捉え、それ以前と以後を見たときに、アニメーションのスタイルがどう変わったのかを詳しく論じている。
 一般的には、UPAが創始した反リアリズム、リミテッドアニメーションの斬新さと、テレビという新たなメディアの拡大とが、その境界線を支配する重要な要素と捉えられ、それは本書でも同様だが、そうした境界線をまたいだことによるスタイルの変化が、たとえばワーナーやディズニーの作品にどう現れたのかといった点にまで、論が及んでいる。
 
 英文は比較的平易で、図版も非常に豊富だが、A4判横、200ページという大部なので、熟読するにはそれなりの体力が必要だろう。
 
 アマゾン等で購入可能。