ベスト150

 
 ●「世界と日本のアニメーションベスト150」
  出版社: ふゅーじょんぷろだくと
  刊行年: 2003年
  定 価: 1380円
 
 
 
 ○○ベストテンの類いは、自分が持っている指標との差があるとたちまち違和感が沸いてくるし、あまり好きではないのだが、本書くらい多くの人の「アンケート」結果を集めると、俎上に載せる作品数も増え、結果的に、一種の作品事典の様相を呈してくる。
 
 本書は、国内外のアニメーション関係者(作家、評論家、研究家、編集者など)138人に、ベストアニメーションを20作品選択させ、それを集計した結果を、ベスト150としてランキングしたものである。
 で、第1位、「霧につつまれたハリネズミ」、第2位「話の話」、第3位「ファンタジア」、第4位「木を植えた男」、第5位「やぶにらみの暴君」ときていて、私などは、いい意味でも悪い意味でも保守的だなあと思ってしまったのだが、まだ納得できた。しかし、第6位に「未来少年コナン」が来てしまっていて、もうわけがわからなくなった。
 
 国内作品と海外作品をごっちゃにしてアンケートをとったところはやむを得ないとしても、ランキングそのものには、やはり限界があると断定した。
 それでも、数少ない海外関係者複数が、「対話の可能性」(シュヴァンクマイエル)を挙げているところには、さすがのバランス感覚を感じる。
 
 意地悪な見方を排除すれば、やはりこれは世界名作事典として非常に便利。アニメーション初心者が、本書を手に取り、作品を実際に見ていくことによって、基礎的教養やリテラシーを向上させる、格好のガイドブックとなろう。
 
 まだ流通しているかどうかは確認していないが、古書店等でわりと普通に買うことができる。