サンライズ全作品集成

 
 ●「サンライズ全作品集成 SUNRISE CHRONICLE 1977〜2007」
  編 者: サンライズ企画室ほか
  発行者: サンライズ
  刊行年: 2007年
  非売品
 
 
 
 アニメ制作会社の社史というものはいくつかあるが、おそらくこれほどの規模・内容のものは、いままでなかっただろう。しかもそれが、70年代以降の日本のアニメを常に引っ張ってきたサンライズのものとあれば、これはもう、1アニメ会社の歴史という範疇のものではなく、日本アニメ史そのものに迫りうる、素晴らしい成果だ。
 
 1・2巻セット、総計700ページに及ぶ紙面には、サンライズの前身・創映社作品の『ハゼドン』(1972)から2007年の最近作に至るまで、自社作品はもとより制作協力作品までが収録されている。
 特に、80年代後半から90年代初期にかけて、テレビアニメの続編や外伝などとして発売されたビデオアニメ作品などは、ほとんど歴史の渦に紛れ込んでしまっており、貴重なデータだ。
 
 基本は1作品あたり見開き2ページか4ページで、全ページカラー、作品のあらすじと解説、主要スタッフ一覧、キャラクター紹介、主要場面集が掲載されており、一方で大御所スタッフのインタビューや年表の類いは入っていないので、徹底的に作品事典の体裁を貫いている。
 
 巻末の「あとがき」には、「この30周年という機会を逃せば、もう全集は作り得ないかもしれない」「だから、盛大なパーティを催して浪費するよりも、過去の作品をヒットしたしないに関わらず、一望できる記録をきちんとした形で残したい」という趣旨で刊行したとある。
 その心意気と、結果としてのこの成果には、一研究者として、心から謝意を表したい。
 
 奥付では2007年12月刊行だが、実際には2008年3月から配本された。
 関係者を中心に配本された非売品なので、現段階では入手はほとんど不可能だが、このテの非売品本は、刊行後半年を過ぎたあたりから、徐々に古書市場に流れることが少なくない。
 見つけたら、値段がいくらだろうが、即刻、買い求めてほしい。