昭和のCF100選

 
 ●「昭和のCF100選」
  編 者: 社団法人日本テレビコマーシャル制作者連盟
  出版社: 誠文堂新光社
  刊行年: 1991年
  定 価: 2000円
 
 
 
 日本テレビコマーシャル制作者連盟(JAC)30周年を記念して出版された大型の資料集。全166ページ。
 といっても、紙面はほとんどが図版で、そこに解説や主要スタッフが併記されている。私はあまり図版が多い資料集というのは「使いにくい」と感じるほうだが、なにしろCFは資料も少ないため、本書は逆に貴重な内容になっていると捉えたい。
 主要な収録作品は、JACの歩みに沿った1961年から88年までの代表的CF作品100本だが、テレビ初期には多くのCFにアニメーションが使われたことは周知のとおりで、サントリーの「アンクルトリス」や「赤玉ポートワイン」、レナウンの「イエイエ」など、CF史に残る多くのアニメーションが紹介されている。
 それに加えて、1953年に制作された精工舎時報CF(ここで挿入されたアニメーションは、日本初のテレビCFアニメーション)なども収録されている。
 
 CFアニメーションは、日本のアニメーション発達史を考察する上で欠くことのできない重要な分野だが、総合的な研究例は少ない。それ以上に、テレビ放送が始まる1953年を中心とした、50年代の日本アニメーション史は、東映動画へ至る流れを除いて、まだほとんど調べられていない。
 日本のアニメーション史を研究しようとする際、1950年代は大きな空白地帯であることを意識しておきたい。
 
 古書ルートで購入可能だが、やや入手困難。