●「軌跡 Production I.G 1988-2002」
構成・執筆: 田中千秋
出版社: 角川書店
刊行年: 2002年
定 価: 3600円
このブログは、どうやらIGの関係者も見ているようなので、いささか舌鋒が鈍るが、本書を紹介したい。
マッドハウス、GONZO、Studio4℃などと並び、近年、最も刺激的な「スタジオ色」を放つプロダクションIG(1987年設立)の、設立以後15年間の軌跡をまとめたムック。全127ページと、比較的コンパクトと言えるかも知れないが、アニメ作品だけではなく、ゲームやイベント上映作品も収録されており、15年間の軌跡を知るには十分である。
ただし、主要スタッフへのインタビューに多くのページが割かれており、調べるための資料集というよりは、読み物的な性格が強い。また、設立初期に関わったテレビアニメの制作協力作品についてはほとんど扱われておらず、網羅的ではない。
このあたり、社史ではなく角川書店から刊行されたムックであるという仕様を考えれば、やむをえないかもしれない。
なお、IGの代表・石川光久の人物伝ともいうべき以下の文献を併せて読めば、IGへの理解がより深くなる。
「雑草魂 石川光久 アニメビジネスを変えた男」
梶山寿子・著/日経BP出版センター/2006年
カラー図版主体のムックということもあって、価格はやや高いが、現在も普通に購入可能。