世界のアニメーション作家たち

 
 ●「世界のアニメーション作家たち」
  著 者: 小野耕世
  出版社: 人文書院
  刊行年: 2006年
  定 価: 2800円
 
 <画像は後で添付>
 
 長年、海外(特にアメリカ)のコミックスや、アニメーションを紹介してきた小野耕世が、30年間にわたるアニメーション作家へのインタビュー記録を集めた、彼の仕事の集大成的な単行本。
 収録作家を挙げると、ラウル・セルヴェ(ベルギー)、ヤン・シュヴァンクマイエル、イジー・バルタ、カレル・ゼーマン(以上チェコ)、ミシェル・オスロ、ポール・グリモー、ルネ・ラルー(以上フランス)、スーザン・ピット、ジミー・T・ムラカミ、レイ・ハリーハウゼン(以上アメリカ)、フレデリック・バック(カナダ)、ニック・パーク(イギリス)、エドゥアルド・ナザロフ、ユーリ・ノルシュテイン、アレクサンドル・ペトロフ(以上ロシア)である。
 いずれ劣らぬ巨匠揃いで、これを読めば、彼らの作品制作や個々の作品に対する情報が多く得られるだけではなく、次にはぜひ作家たちに直接話を聞いてみたくなるに違いない。個人的には、イジー・バルタの代表作『笛吹き男』に関する本人の解説が面白かった。
 もちろん、ラルー、ゼーマン、グリモーのように物故者となってしまった作家に会うことは不可能だが、そのぶん、私自身の数少ない経験、例えば、昨年ダブリンで会ったジミー・ムラカミ、3年前に京都で一緒に夕食をとったミシェル・オスロ、14年前に広島でほんの少しだけ言葉を交わしたフレデリック・バックらの思い出は深い。
 
 なお、本書に収録されたインタビューは書き下ろしではなく、すべて過去に「キネマ旬報」等の雑誌に掲載されたものを集めたものである。
 本書に集約する際、かなり加筆修正を施している部分もあるようなので、研究資料にする時には、各雑誌に掲載されたオリジナルと読み比べた上で引用するほうがよいかもしれない。(本書の巻末に初出誌一覧がある)