デジタルコンテンツ白書

 
 ●「デジタルコンテンツ白書2007」
  編 者: 財団法人デジタルコンテンツ協会
  出版社: 同上
  刊行年: 2007年
  定 価: 6000円
 
 
 
 今年度版もまもなく刊行されると思うが、昨年度版をここで紹介しておきたい。
 
 私のように、教員職のほか、単行本や論文を執筆する研究者、そしてライターのような仕事までやっていると、いろいろな問い合わせが舞い込んでくる。
 つい先日も、民放の某バラエティ番組制作会社から、アニメーションの市場規模に関する問い合わせがあったりしたのだが、そういう場面でなくとも、いま日本の、アニメ、漫画、ゲームなどコンテンツ業界で何が起きているのかということを示す客観的な数値は、何を書くにも喋るにも、非常に重要だ。
 本書は、映画、放送、音楽、漫画、アニメーション、ゲーム、オンラインゲーム、アミューズメント、インターネット、携帯電話、新聞・出版に至るまで、デジタルコンテンツを主体としたコンテンツ業界の市場動向について取りまとめられている。
 また、海外における動向、たとえばアメリカやフランスにおける日本のアニメーション市場動向についても掲載されており、取扱国は年度によって変わる。
 こうしたことから、けっこうな高価格にもかかわらず、毎年買わなければならないのが少々やっかいだが、これはやむを得ない。
 
 こうした白書にまとめられた数値が「正しい」のか、「実情を反映していると言える」のかについては、いろいろな意見があると思われる。
 しかしながら、重要なのは、何らかのレポートを書くときの引用元として、「白書に掲載された情報」を使うというのは、一定の合意形成が期待されるという点だ。
 
 たとえ現代アニメにはあまり興味のない研究者であっても、「いま、日本のアニメが世界的に評価されている」などと、さらりと書いてしまう前に、もう一度、本書のような客観的な資料に眼を通して、冷静に判断するクセをつけたい。