アニメージュ20年史

 
 ●「BEST OF アニメージュ
  編 者: アニメージュ増刊編集部
  出版社: 徳間書店
  刊行年: 1998年
  定 価: 1500円
 
 
 
 アニメ情報誌「アニメージュ」創刊20周年を記念して出版されたムック。A4判・154ページ、加えて巻末に創刊号から240号までの総目録が添付されているのが素晴らしい。
 内容は、全号の表紙、特集ページの概要、そしてふろくまで紹介されており、それらの情報を追っていくと、宮崎アニメに特化したアニメージュといえど、アニメブーム全盛期に入った1978年からの20年間に及ぶアニメ史が凝縮されている。
 
 私がアニメージュを愛読していたのは80年代で、特に当時、他のアニメ雑誌がほとんど紹介することのなかった海外アニメーション、たとえばカレル・ゼマンユーリ・ノルシュテインらが来日した広島国際アニメーション映画祭(第2回)開催に合わせた連続特集などは、むさぼるように読んでいたものだ。
 
 一般的には「風の谷のナウシカ」原作を連載していた雑誌として知られ、早くから宮崎駿に注目し、毎号の冒頭での「好きなアニメキャラクター人気投票」では、長らく長らくナウシカがトップだったという、当時のアニメ界の実情からすると、相当に浮いていた雑誌ではあったのだが、本書のインタビューに登場している押井守の「20年やっている雑誌って、ほとんどないんじゃない? そういう意味で言えば、すごいよ」という言葉は、まさに的を得ている。
 
 あまり斜に構えず、『宇宙戦艦ヤマト』と『機動戦士ガンダム』でもたらされた空前のアニメブームの拡大と終焉、そして『エヴァ』に端を発する次なる時代への幕開けに至る、壮大なアニメ史文献として、本書を活用したい。
 
 古書ルートで購入可能。